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聖典バガヴァッド・ギーターがやって来た話

出典:クリシュナ意識国際協会:Iternational Society for Krishna Consciousness

当サイトとして実質、初の記事なので、テーマに迷いましたが、やはり以下のエピソードから話しておきたいと思います。

私がインド哲学の深遠な英知を知るきっかけとなったのがこの本でした(*ちなみに当サイトでは宗教・思想・哲学の間に明確な線は敷きません)。

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ほとんどの日本人はこのエキゾチックな表紙を見た瞬間に引いてしまうと思います。日本式仏教寺院の簡素で落ち着いた雰囲気のように、霊的な真理は、派手さ・ケバケバしさとは無縁のものだというのが、日本でのだいたいの常識かと思われます。ましてや「青い色」の男なんて、妖怪か何かとしか思えません。もっとも、日本でも、もともと神仏像やそれを配置する仏堂内部は、たいへん派手な極彩色だったらしいのですが。

実は、この本は、どこかで買ったわけでも、図書館で借りたわけでも、友人知人からプレゼントされたわけでもありません。そもそも、こんな本が存在することさえ知りませんでした。驚くべきことに、この本は、ひとりでに私のところにやって来ました。

と言っても、むろん虚空から現れたわけでありません。

あれは、たしか1990年か、91年の頃だったと思います。私が20歳か、21歳の時ですね。大阪駅前の大通りに面した歩道を歩いていると、十メートルほど向こうに、日本では珍しいオレンジ色の僧衣を纏った青年がいました。眼鏡をかけた坊主頭の日本人です。

「すいません、人類最高の英知が記されていると言われるXXXXXをご存知でしょうか?」

その青年は道行く人に次々と声をかけて回っていました。しかし、何かの勧誘と思われてか、誰からも相手にされません。それどころか、中年女性からはあからさまに嫌な顔をされています。誰もが避けていくのですが、私はどういうわけか避けませんでした。

青年が私のほうを見て声をかけました。その瞬間、目と目が合ったのですが、彼が非常に澄んだ目をしていたため、思わずその場に止まってしまいました。

その青年が上のセリフを述べながら私の眼前に差し出したものこそ、このバガヴァッド・ギーターだったわけです。しかも、結構分厚い本(あとで確認すると600ページ以上ありました)なのに、なんと「タダで差し上げます」と言う。私は「え? タダなんですか?」と驚いて聞き返しました。おそらく、その時の私は、物乞い根性から目を輝かせていたに違いありません。青年は「どうぞ」と微笑んで、本を差し出しました。私もまた「タダなら貰っておいても損はないか」程度の気持ちでそれを受け取りました。

通常、ティッシュやサンプル品を配布する人の足元には、それを詰めているダンボールなどが置かれています。ところが、この青年の足元には何もありません。不可解なことに、どうやら、その本をただ一冊(か、もしくは私が現れる前に数冊)だけ持って、路上に突っ立っていたようなのです。しかも、公道で分厚いインドの宗教書を配るという、品物の配布バイトの常識から言えば、受け取り率が最悪としか思えないことを、人々から避けられ、嫌がられながらも根気強くやっていたようなのです。

こうして、この本は私のところにやって来ました。私は生まれて初めて「バガヴァッド・ギーター」なる宗教書がこの世に存在することを知りました。「バガヴァッド・ギーター」とは、次回にまた解説しますが、古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」の中にある一節を指します。かのマハトマ・ガンジーの座右の銘(書)だったとか。

この本は厳密には「バガヴァッド・ギーター」およびその注釈書でした。素晴らしいことに、サンスクリット語のギーター、その発音の仕方、そして日本語訳が記されています。だから日本でもっとも正確な翻訳だと思います。その原典に、アバイ・チャラナラヴィンダ・バクティヴェーダンタ・スワミ・プラブパーダという現代の先生が、一節ごとに細かな注釈・解説を書き加えています。これがまた深い哲学的洞察を含んでいます。

プラブパーダの本

出典:ISKCON(http://www.iskcon.org/)

スワミ・プラブパーダさんは1896年、インドのカルカッタに生まれ、とくに西洋でのインド哲学の普及に尽力した人です。1966年にはアメリカで「クリシュナ意識国際協会」を設立しました。組織は略してISKCON(イスコン)といいます。そして1977年にお亡くなりになりました。今では世界中に支部のある大きな組織です。

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出典:ISKCON(http://www.iskcon.org/)

どこかパラマハンサ・ヨガナンダさんと似ているところがありますね。彼も同じように西洋での布教活動に努め、1920年にはアメリカでSRF(セルフ・リアリゼーション・フェローシップ)を創設しています(*日本支部はこちら)。

私がいただいた本は「クリシュナ意識国際協会」の日本支部のものだったわけです。同支部はまだ健在なようで、興味のある方はご自分でお調べになってください(ちなみに私は今日に至るまでメンバーではありません)。

おそらく、ヒンドゥ教とは何なのか、よく分からない人も多いと思います。かつての私のように、象頭神(ガネーシャ)のような奇怪な神様を拝んでいる土俗的・迷信的な宗教という偏見を持たれている人もいるでしょう。そういう方はぜひとも「バガヴァッド・ギーター」を一読なさることをお勧めします。そこにはヒンドゥ教の精髄にして、空前絶後ともいえる宗教的な英知が記されています。

ただ、なにぶん日本人になじみのない書ですし(なにしろ図書館でも置いていないところがあるくらいです)、忙しくてゆっくりと宗教書なんかにかまけている余裕はないという人も多いでしょう。そういう人のために、なんとか私の引用と(勝手な)注釈で、英知の一つまみくらいは提供できないか、と考えています。必ずしもそれだけではありませんが、そういう目的を込めて作ったのが、このサイトというわけです。

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